復興予算を使い、「ゲリラからの攻撃」に即応ーー 税金を “JUDGIT!”(1)

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復興税を使った東日本大震災復興特別会計

被災地のための復興予算で、防衛省が1台3億2千万円の偵察車7台を購入していた事実は、国家財政の検索システム「JUDGIT!(ジャジット!)」でみつかった。

「JUDGIT!」というのは、国の予算の使い道や目的を簡単に検索できるデータベースだ。元にしたデータは各省庁が「行政事業レビューシート」という形でホームページで公開している。国民に向けた説明資料だ。このレビューシートを一つに統合して、各省庁を横断して検索できるようにした。ワセダクロニクルは、政策シンクタンク構想日本、日本大学文理学部の尾上洋介研究室、データの可視化が専門のVisualizing.JPと共同で制作した。

私たちは「JUDGIT!」でまず東日本大震災復興特別会計を調べた。この会計は、政府が復興税という新たな税金を導入し、私たちから徴収してつくった財源だ。

そこからの支出が、本当に被災地の復興のために使われているか確かめる必要がある。

「JUDGIT!」で「府省庁別検索」を選択する。

次に、省庁を選び、「会計区分」の欄で「東日本大震災復興特別会計」をクリックする。

各省庁が復興予算を使って実施した事業が、レビューシートと共に出てくる。

私たちは、このレビューシートに記載された事業を一つ一つチェックしていった。

チェックを始めると、引っかかったものがあった。

「何だ、これは」

防衛省が2015年度に作成したレビューシートだった。

日本の防衛計画のもと、購入

 レビューシートの「作成責任者」は「三島茂徳・艦船武器課長」と「田中利則・防衛計画課長」になっている。

「事業概要」の箇所にはこうあった。

  • 防衛計画の大綱等に基づき、我が国の地理的特性等を踏まえつつ、各種事態等(島嶼部に対する侵略、ゲリラや特殊部隊による攻撃等)への対応力を向上させる甲類装備品を整備しているところである。この中で、NBC偵察車の取得を行うものである。

「事業の目的」の箇所にも、「各種事態等(島嶼部に対する侵略、ゲリラや特殊部隊による攻撃等)への対応力を向上等を図る」と書かれている。

ゲリラや特殊部隊からの攻撃に備えるため「NBC」偵察車を買うことが、東日本大震災の復興となんの関係があるのだろう?

しかも、この支出の根拠を示す「計画・通知等」にはこう書いてある。原文のまま、〈 〉内はワセダクロニクル。

  • 平成26年度〈2014年度〉以降に係る防衛計画の大綱、中期防衛力整備計画(平成26年度〈2014年度〉〜平成30年度〈2018年度〉)  (平成25年〈2013年〉12月17日国家安全保障会議決定・閣議決定)

閣議決定とは、内閣総理大臣以下閣僚が出席した会議で決められた政策のことだ。行政府における最高の意思決定の手続きである。

このNBC偵察車は、第2次安倍内閣(2012年12月26日〜2014年8月18日)の全閣僚が承認した日本の防衛計画のもと、購入されたことになる。レビューシート、つまり国民向けの説明文書には、東日本大震災で被災した地域の復興のために購入したという記述はない。

レビューシートに書かれた「ゲリラ」「特殊部隊」の文字(C)Waseda Chronicle

7台で22億6千万円

ではNBC偵察車とはどういうものなのか。陸上自衛隊のホームページを調べてみた。

それによるとNBC偵察車とは、放射性物質(N=Nuclear)、生物兵器(B=Biological)、有毒化学剤( C=Chemical)などで汚染された地域での偵察を目的に開発された。陸上自衛隊の最新鋭の装備だ。12.7ミリの重機関銃もついている。

このNBC偵察車を、防衛省は東日本大震災復興特別会計を使って2013年度に7台購入した。計22億6,300万円。1台あたり3億2,300万円の計算だ。

NBC偵察車がゲリラの攻撃などに備えて必要な装備であるとしたら、防衛省の一般会計予算で堂々と買えばいいではないか。

なぜ震災復興のための予算で購入したのか。

私たちは防衛省に質問状を送った。

防衛省が復興予算で購入したNBC偵察車。全長8メートル、12.7ミリの重機関銃を備えており最高速度は時速95キロ。出典: 陸上自衛隊ホームページ

=つづく

  • JUDGIT!」は国の金の使い道を誰でも簡単に検索できるシステムです。一緒に国家財政をチェックしていきましょう。疑問や疑惑など、「JUDGIT!」を使ってあなたが見つけた”発見”をこちらまで教えてください。

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