アリンコの知恵袋⑧原発ゼロを訴える金融人「原発推進派に告ぐ! あなたたちは切腹できますか」

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「アリンコ講座」第8回目は、原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟会長の吉原毅さんが登場。「原発推進派に告ぐ! ~あなたたちは切腹できますか~」と銘打って、国の存亡がかかるような東京電力福島第一原発の事故を経ても原発を再稼働させることの愚かさを語った。

吉原さんは慶應義塾大学を卒業後、城南信用金庫に入り金融の仕事を手掛けてきた。理事長として経営を担った経験もある。原発の非合理性を経済面から説き、原発事故への東電経営陣の責任については「津波がくることを想定していないのは経営者としてまったく不行き届きだ」と怒りをあらわにした。

日本社会は「なくした方がいいと分かっていても」原発を止められない。吉原さんはそこに「負けることがわかっていても戦争に突入した」第二次世界大戦時の日本を重ね合わせる。【砂川侑花】

金融の現場で経済感覚を研ぎ澄ましてきた吉原毅さん。合理的な原発批判を繰り広げた=2019年9月21日、東京都新宿区西早稲田1丁目 (C)Waseda Chronicle

10万年間のコストは子孫が負担?

慶應大学の学生だった頃、「原油が減って資源がなくなっていく。だから原発に力を入れなければならない。これからは核融合の時代だ」と聞いた。当時、報道や専門家も原発を褒め称えるばかりで、自分でも信じていた。

しかし、原発はあらゆるリスク、コストをはらんでいる。

まずどんな巨大技術の中でも事故は起こる。

実際、高速増殖炉の「もんじゅ」では、重さ約3.3トンの燃料交換用装置をウインチで引き上げる際、約2メートルの高さから炉内に落下した。

「人間は想定しないことが起きても大丈夫だ」という範囲のことしかしてはいけない。想定しない事故は必ず起きてしまうのだ。しかも原発は最悪の場合、国がなくなるリスクまではらんでいる。

次にコスト。

例えば使用済み核燃料の処理には莫大な費用がかかる。フィンランドでは島の岩盤に、使わなくなった核燃料を地下深くに埋める「オンカロ」という処分場を建設しているが、放射能レベルを下げるためここで10万年に渡って核燃料を封じこめなければならない。これは原発のコストを無限大にすることではないか。10万年の間の、そのコストは全部子孫が負担するのか。ましてや、10万年間安全に核燃料を埋めておけるような地盤は日本にはない。

原発での電力の生産コストは、国の算定では1キロワットあたり約10円だが、実際は18円ものコストがかかるといわれている。原発事故後の安全対策費が4兆8000億円に膨れ上がってしまったからだ。

分かっていても止まらない「社会病理」

原発はコストもリスクも莫大だと分かりきっている。東電だって、津波がきた場合の被害など建設当時から想定していたはずだ。

だが東電は防潮堤を作らず、原発も止まらない。これは社会病理だ。日本が意思決定できない、独立自尊ではない国だと表しているようなものだ。

第二次世界大戦も、負けるとわかっていながら真珠湾を攻撃してしまった。猪瀬直樹の「日本はなぜ戦争をしたか 昭和16年夏の敗戦」に書かれているように、総力戦研究所のシュミレーションで、必ず日本は負けるとわかっていた。

そういう意味で、原発が止まらない今と戦争に突入した当時はよく似ている。

太陽光YES!

3・11を見て、ドイツなど世界では原発をやめる国が出てきた。それなのに原発事故があった当の日本だけがまだやっている。ばかじゃないのか。

日本以外ではどんどん自然エネルギーを推進している。中国はソーラーパネルで世界シェア71%を占めている。

原発よりもコストが安い太陽光発電を有効活用したほうがいい。太陽光パネルなどのハードウェア価格の低下により、1キロワットにつき約11円のコストで発電できるようになっている。

日本も国策として太陽光エネルギーを進めるべきだ。地方でのソーラーパネルの投資が増えれば、GDP(国内総生産)の実質成長にもつながる。地方で使う電気はソーラーパネルで生産し、余った電気は東京に売れば儲かる。全て国内で完結できる。

これからは「原発反対」を叫ぶよりも、「原発をやめたほうが儲かる」ことを前面に押し出した方がいい。スローガンは「太陽光YES(イエス)!」だ。

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